決算月でも間に合う法人税の節税策

経営者、経理担当者の皆様

3月決算の会社はそろそろ今期の利益額が見えているころではないかと思います。思ったより利益が出てしまい、税負担が急増した企業もあるのではないでしょうか。
そこで、決算月でも間に合う法人税の節税策のうち、スタンダードなものを列記してみます。

1.節税の正攻法は、経費を多く使うことなので、必ず節税額以上のお金が出ていきます。
節税策をやりすぎないよう、今期の課税所得額をなるべく正確に把握する必要があります。
経理担当者の方は、経費の計上漏れ等がないか確認してみてください。当期と前期の月次推移表を比較すれば検討しやすいのではないかと思います。
また、特別償却等の特例の対象になる取引の有無もご確認ください。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji313.htm

2.近いうちに行う予定だった修繕や、少額の備品の刷新等があれば、前倒しして行います。

*修繕について

・固定資産の維持管理や原状回復のための支出は修繕費として損金になりますが、価値や耐久性を高める支出は固定資産に計上しなくてはなりません。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5402.htm
一般的には、外壁の塗り替えは修繕費、ただし従来より高性能な塗装(防水、防火等)をした場合は固定資産、と言われているようです。

・照明設備をLEDに交換した場合は、全額損金とできます。http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/04/12.htm

*備品、消耗品について

・10万円未満の備品は、事業に使用した時点で損金にできます。http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5403.htm

・切手や、文具等の消耗品の買いだめは、貯蔵品として資産計上が必要なため、損金にはできません。普段、購入時に経費にしている会社も多いかと思いますが、あくまでも期末に多額の在庫がないことを前提として認められる処理です。

・ただし、非常用食料の買いだめは、備蓄した時点で事業の用に供していると考えられるため、買った時点の損金になります。
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/20/05.htm

3.小規模企業共済に加入して掛金を1年分前払いすれば、一気に240万円の損金計上ができます。

・40か月間加入すれば、解約時に掛金が全額戻ってきます。利益の先延ばしの効果があり、節税に非常に有利なので、前項より優先的に検討されてもよいかと思います。http://www.smrj.go.jp/tkyosai/qa/kakekin/000119.html
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/sochiho/750214/15/15_66_11.htm

4.節税効果は小さいですが、固定資産の取得もご検討ください。特別償却や特別税額控除の対象になる資産なら、それなりの節税効果が期待できます。http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/houji313.htm

5.決算賞与として従業員に利益を還元することも考えられます。

・役員賞与は損金とならないのでご注意ください。

6.保険、保証制度への加入も考えられます。
・損金算入ができる共済掛金としては、3.で記載した小規模企業共済の他に、中小企業退職金共済もあります。
http://chutaikyo.taisyokukin.go.jp/qa/qa-10/10-2-1.html
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/hojin/18/01.htm

・民間の保険に加入しても、ある程度の節税効果は見込めます。ただし、解約返戻金のある保険契約では、通常は保険料の全額を損金とすることはできませんのでご留意ください。

スタンダードかつ正攻法のものしか書いておりませんので、上記のほかに決算月に行える有効な節税策があればお教えください。